災害リスクアドバイザー 松島康生 

TBSテレビ「いっぷく!」に出演。土砂災害と冠水時の危険

TBSテレビ「いっぷく!」(2014年7月10日(木)放送)の生放送に出演させていただきました。

2014年の台風8号の影響で長野県南木曽町では土石流が発生しました。これによる土砂災害の発生原因などのコメント。本州上陸で懸念されている冠水時の注意点などをコメントさせていただきました。

長野県南木曽町の土石流と冠水時の危険
◆土砂災害の大別

土砂災害には、大きく分けて3種類あります。

土砂災害の種類と主な特徴

急傾斜地
の崩壊
(がけ崩れ)
傾斜度が30度以上の傾斜地で、小規模ながら突発的に崩れ落ちることがあります。都心部や市街地など全国で一番多く存在するため、住家や人的被害の頻度が高い特徴があります。
長雨や集中豪雨だけでなく、地震によって崩壊することがあります。
地すべり 比較的緩やかな斜面において、地中内の滑りやすい岩盤層(粘土・泥岩等)に水が入り込み、地盤ごと動き出す現象。広範囲に地盤が動くため、人家、道路、田畑などに大きな被害を及ぼすことがあります。
また、表層崩壊(厚さ0.5~2m程度)や深層崩壊(厚さ2m以上)もこれに含まれることが多い
土石流 山腹の崩れた土砂や渓流に溜まった石に、長雨や集中豪雨が降って地盤がゆるくなり、その重みで斜面を一気に滑り落ちるため、「山津波」とも呼ばれています。特長として、谷を滑り落ちる際に周囲の石や木材を巻き込んで、雪だるま式に土砂量が大きくなります。

 

◆土石流発生のメカニズム
一般的に土石流は、山腹斜面が崩れた土砂や渓流に溜まった石礫に、引き金となる雨によって地盤がゆるみ、その重みで斜面を一気に滑り落ちるため、「山津波」とも呼ばれています。谷を滑り落ちる際に周囲の土砂や木材を巻き込んで、雪だるま式に土砂量が大きくなります。

時速20km~40kmと原付バイク並みの速さで流れ落ち、狭い谷から平らな場所に解放されるため、土砂は扇状に広がります。

特に長野県木曽町のように過去に土石流が発生した渓流は特に注意が必要とされており、自治体も住民も用心をしていたようですが、短時間に非常に多量の降雨があったため発生したと考えられています。

 

◆土石流の前兆

地元には昭和28年7月20日に発生した土石流による被害を繰り返さないための石碑が残されています。 災害履歴を知る上では市町村史や災害史と共に石碑は重要な資料となります。

「蛇ぬけの碑」の教訓には「蛇ぬけの水は黒い」「蛇ぬけの前にはきな臭い」など・・・石碑の一部を現代訳してみると。

「蛇ぬけ」とは土石流の意味で、「蛇抜けの道」とは土石流が通る谷筋を指します。

「白い雨が降るとぬける」・・・水しぶきで周囲が白っぽく見えなくなる雨(1時間あたり70ミリ超)が降ると土石流が発生する

「長雨後谷の水が急に止まったらぬける」・・・上流で土砂が堰き止められて水の流れが止まったら、土石流が発生する

「蛇ぬけの水は黒い」・・・上流で土砂が堰き止められているため、土混じりの水が流れる

「蛇ぬけの前にはきな臭い匂いがする」・・・土石流が発生する前には石礫や木材がぶつかり合うような匂いがする。

地元の方の証言では、石碑にある「白い雨」が確認されていたようですが、それ以外の「水が急に止まったら…」、「蛇ぬけの水は黒い」「蛇ぬけの前にはきな臭い・・・」のような現象は、短時間で多量の豪雨だったために確認が間に合わなかったようです。

 

◆冠水時の注意点

冠水時は原則、外出をしないのが無難なのですが、やむを得ず移動しなければならない場合があります。そのような時を想定して、下記のような箇所について注意喚起をしました。

浸水が深くなると水面が乱反射したり、濁って水底が見えづらくなります。このような時は赤丸に示したような「縁石」「マンホール」「倒れた自転車など」によって転倒する危険性があります。

特に逆流した水圧によってマンホールが外れてしまい、過去には転落して亡くなっているケースもありました。水面下が見えない時は傘をつえ代わりにして足元を確認するとより安全です。

資料画像:平成21年兵庫県佐用町の水害

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松島 康生
この記事を書いた人
災害リスク評価研究所 代表
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